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イレッサ第III相試験の結果を踏まえて アストラゼネカ社 プレスブリーフィング 

2月2日 ホテルオークラ(東京)において標題のプレスブリーフィングが開催された。
前日の厚生労働省配布の「ゲフィチニブに係る第III相試験の結果及びゲフィチニブ使用に関する当面の対応に関する意見」に基づくものである。
同試験は,ドセタキセルとの比較である。演者の近畿大学福岡教授が結論として,ドセタキセルに対し非劣性が証明できなかったということが重要であるということと,女性,非喫煙者で腺癌,東洋人にはよく効くようだという講演をした。前段は主催者に対する配慮であったろうが,質疑応答時にはドセタキセルの使用が増えるであろうと答えていた。後段は前年ASCOでのEGFR(epidermal growth factor receptor)の変異ある人間に効くという発表にもつながる。
イレッサについては今後は,これら女性,非喫煙者で腺癌,東洋人とかmutationのある人間など「super responder」がとりあえずの対象になるのではないだろうか。
その際はmutation特定が容易であることも条件になろう。

この日のブリーフィングで気になったのは「いくつかの比較試験で優位なことが示せなかったイレッサは今後どこで有用性を示すのか」と会社側の方針を尋ねた質問に対しての回答が「主治医の先生と患者さんとの話し合いで」というような曖昧な回答であったことである。内容の是非はともかく,質疑応答への対応シミュレーションができていないことが露呈され会社としての「危機管理」が不備であると感じた。

しかしながら,現実として肺がんの5年生存率が15%程度ということは厳しい事実である。

[追記]遺伝子特定について,「血液1滴で30分以内の診断法を理化学研究所が開発した」という記事が,毎日新聞2月19日に掲載された。

  • 2007年02月07日(水)13時49分
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